小児科医と事前面談
行ってきました。小児科の先生のもとへ。
妊娠7ヶ月目にして、まだ見ぬ我が子の主治医が決定するとは。アメリカに来るまで想像もしてなかった。
予約
前回の産婦人科の先生に2名の小児科医を紹介してもらった。1人目の先生のクリニックに連絡したところ、残念ながら自分の保険はカバー外ということでお断りされてしまった。そこでたどり着いたのが今回の先生。どうやら超ベテランのスゴ腕、かつクリニックの場所が出産予定の病院の目の前らしい。
スゴ腕の証拠(?)VTR
この人の手にかかるとあまりにもあっけなく赤ちゃんが泣き止む。動画を見た夫は爆笑してた。
さっそく先生との面談を予約した。どうやら複数の患者候補で質問セッションをやるスタイルらしい。
当日
10分前に到着。夫は学校の課題があるからスタバで勉強したいというので、1人で臨むことに。
受付で渡されたフォームを諸々記入してると、先生本人が挨拶しにきてくれた。父親世代くらいのいかにも優しそうな、包容力ありそうな紳士。「今は野球のポストシーズン戦が盛り上がってるから、どこの家も旦那さんがついて来きてくれないんだよ」と軽快なジョークを飛ばす。たしかに同じ面接グループだった人たち2人とも、女性だけだった。
待ち時間でふと気づいた。
私は面接に来たけど、なにを質問してどこをチェックすればいいのか全くわかっていない!その場でググり、とりあえず把握したつもりになってみる。似たような記事をいくつか見たところ、似たような項目が書いてあった。
いざ面接が始まると、さすがは小児科の先生。和やかな雰囲気で緊張を解いてくれて、お互い自己紹介しながらスモールトークでしばし雑談。雑談だけど人柄がにじみ出る。本題に入る前からググッと信頼感が増した。
ちなみに同じグループのママたちもユニークで面白かった。
ママ① なんと2週間後に予定日を控えてる。1ヶ月前にボストンから引っ越して来た。夫はファイナンス系の会社勤め、というところから、この小児科医の親友さんと同じ職場だと判明。
ママ② スペイン人のレーサーの妻。自身はかつて女優の卵で、今はレストランを経営。2ヶ月前に結婚して、来週新しいレストランを開いて、2ヶ月後に第一子の女の子を出産予定。
③自分も、夫が留学中で日本から先月引っ越してきて、来年NYに引っ越し予定とか色々ツッコミを受ける要素があり、身の上話で盛り上がった。
診療体制
クリニックに関する資料を見ながら説明を受けた。前述のウェブサイトにあったような項目はほぼ網羅されてた。付け焼き刃の予習、意味をなさず。
すごいのは、24時間365日体制でクリニック所属の小児科医に必ず電話が繋がるようになっており、アドバイスをもらえること。実際にこの面接中も、かなりテンパったママからの電話に真摯に対応してた。
診療時間も土曜日まで設けられてる。飛び込み診察も受け付けてくれるし、電話相談したときもその日のうちに診察時間を確保してくれる。看護師はいなくて、必ず医師が対応してくれるそう。
こういったサービスのため、通常の診察費用の他に”登録料”を徴収する (保険適応外)。年間$320だし、途中で引っ越したら一部返金してくれるというし、リーズナブルだと思った。弁護士のタイムチャージとかと比べたら雲泥の差(笑)
産後のスケジュール
- 出産後すぐに小児科クリニックに連絡
- 24時間以内に担当の小児科医が駆けつけてくれて、赤ちゃんの全身をチェック
- 退院 (経膣分娩”vaginal birth”なら産後2日、帝王切開"c-section”なら産後4日)したら、その2日後に小児科クリニックで診察
- ワクチンの計画を立てて、粛々とこなす
その他アドバイス
いつから赤ちゃんを外に出していいかについて。中国や日本の例として、産後の床上げについて触れられた。産後は周りの助けを借りながら、赤ちゃんも母親もなるべく体を休め、スキンシップを通して絆を深めることに集中することを勧めたい、と。
たしかにアメリカでは、産後2週間くらいの赤ちゃんを連れて出かけてる人も散見される。他のママたちは、産後そんなに急がなくていいんだ!と目からウロコのようだった。
原則、1ヶ月すぎるまでは外のお散歩くらいに留めておいて、レストラン等に連れていくのはせめて2ヶ月目以降を推奨したい。冬生まれベイビーは、出来るだけ風邪の季節が終わるまでは人混みは避けるように、とのこと。至極まっとうなご意見でホッとした。
また、各種メーカーがあれこれ商品を売り込む戦略を立てているが、産後1ヶ月に限っては
- 退院時に使うチャイルドシート
- 赤ちゃんの身
- 母親の身
- 赤ちゃんをくるむもの (服というよりブランケット)
さえあれば十分!と断言された。
ベビーカーもベビーベッドも、服もその他グッズも、最初は必須じゃないという。ママ②の人が怒涛の勢いで買い物すべきものを聞いてたが、こんなシンプルな答えが返ってきて拍子抜けしてた。
保険についてもあらためて思うところがあった。例えば低所得者向けのMedi-calに入ってしまっていたら、この先生の診療はカバー対象外となる。もう少し大きな幼児をかかえてたら海外旅行保険やMedi-calで十分なのかもしれない。でもこれから生を受ける大事な新生児に何かあったとき、優れた医師のベストを尽くした医療を受けさせてあげられませんでしたーじゃ冗談にもならない。来年も、赤ちゃんの分も含め、今の保険プランは継続したいと思った。
日本の国民皆保険制度や生活保護制度では、誰だって行きたければ大学病院で診療を受けられる。お金があれば高度な医療を受けやすいけど、少なくとも選択できる施設が全く違うということはない。アメリカの保険が破綻しているという話はわかっているつもりだったけど、いざ新たな命のことを考えると、なおさらリアルに感じられるものがあった。
ひとまず、近所に素敵な先生がいてくれて、よかった。