本当にうちのベビーは小さめなのかーアメリカと日本では基準が違う!
36週時点で2400gちょいと推定された我が子。
主治医から、「もう少し大きめくらいが理想なんだけど」と言われてしまった。
このコメントに違和感を感じたので、本当にそうなのか調べてみた*1。
以下、推定退治体重 Estimated Fetal Weight (EFT) に関する独自調べ*2
アメリカの基準
現在一般的に使われている基準はこの論文がもとになっている…?たぶん。
うまくグラフを貼り付けられないのだけれど、Figure 2として掲載されている成長曲線を読むと、妊娠36週でのEFT平均値は2800gとなっている。
これが基準だとしたら、たしかに2400gは小さめと言われてしまうかも。
人種の違い
とはいえ気になるのが、人種における違い。そりゃママの身長も体重も食文化も違うんだから、胎児の育ち方が世界共通なわけがない。
実際、人種によって違うということが研究でも明らかになっていた。
一部抜粋&赤字ハイライト追記 |
元の引用文献*3
この表ではEFWの10th percentile、つまり下から10%の範囲を人種別にまとめている。例えば36週時点では、赤字でハイライトしたとおり、白人種が他人種と比べて+200gと差をつけていることがわかる。
200gって…全然違うじゃん!!!20~35週までは週に200g, それ以降は185gずつ成長するというのだから*4、白人のベビーは1週間分も大きいことになる。
日本の基準
日本産婦人科学会の基準は、HPのリンクから飛べるPDF*5で確認できた。
-2.0SD 平均 +2.0SD
36 週 0 日 1927 2507 3087
引用元の表を抜粋・改変 単位:グラム
この±2.0SDというのは上位・下位の2%という意味。
アメリカ基準と比べて、日本の平均値がいかに低めかということが一目瞭然。
そもそも2003年に公示された「超音波胎児計測の標準化と日本人の基準値」*6*7にも、日本独自の基準が必要であることが書いてあった。
一方、発育の人種差により、外国で作成された発育曲線は使用できないことはすでに証明されている。
結論
「赤ちゃん小さめだね」と言われても、なーんにも心配しなくてよかった。
診察直後は「私がちゃんと栄養を摂れてなかったのか」「このまま大きくならなかったら何か影響はあるのか」とか、いろいろな考えが頭を巡った。でもこうやって調べてみたら取りこし苦労だということがわかったので一安心。
アメリカで検診を受けて、もし似たようなことを言われて不安な気持ちになるママがいたら、たいていの場合は大丈夫!と伝えたい。
*1:理系の職業柄こういうのは論文検索して確かめないと気が済まない
*2:もっと適切な情報ソースがあるかもしれません
*3:Buck Louis et al., Racial/ethnic standards for fetal growth: the NICHD Fetal Growth Studies. Am J Obstet Gynecol. 2015 Oct;213(4):449.e1-449.e41. doi: 10.1016/j.ajog.2015.08.032. PMID:26410205
*4:Hadlock FP, et al., In utero analysis of fetal growth: a sonographic weight standard.Radiology. 1991 Oct;181(1):129-33. PMID: 1887021
*5:http://www.jsog.or.jp/public/shusanki/taiji_hatsuiku_kyokusen.pdf